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発展的アプローチ

農作物生産性向上技術の導入と普及推進は、1986年の発足以来、SAAの農業プログラムの中核となっています。改良技術のパッケージ(主に肥料と改良品種、気候変動適応型生産技術、適正農業規範(GAP)で構成)は、普及のためのデモンストレーション圃場を通じて300万以上の農民に紹介されています。SAAは、一年生の穀物(例えば、メイズ、ソルガム、ミレット、米)のほか、大豆、ゴマ、落花生、ヒマワリなどの油糧種子作物などの普及に取り組んでいます。また、ササゲや豆などのマメ科植物や、キャッサバやサツマイモなどの根菜類も取り扱っています。

「農民学習プラットフォーム(FLP、詳細後述)」で普及されている主要な生産技術は、農民のニーズに基づいたものであり、主に高収量、耐乾性、または栄養価の高い作物品種を取り扱っています。FLPsでは、各土地の土壌状態に合わせた有機系土壌改良剤の投入、施肥量の調整を行うほか、適切な土地の選択と整地、植え付け、タイムリーな除草と病害虫管理、土壌保全と水保全などといった、適正農業規範(GAPs)も同時に普及しています。

FLPにおける作物収量は、従来農民が得ていたものより2~3倍多いのが一般的です。こうした潜在可能性にもかかわらず、農民の20-25%未満しか、推奨パッケージ、特に推奨される施肥量を採用していません。というのも、大部分の零細農民にとっては、このパッケージはあまりにも高価で、また、投入材へのアクセスが大きな障害となるケースも多くあったのです。

2009年、SAAはコミュニティへのコンサルテーションによる参加型指向のアプローチを導入しました。このアプローチでは、農民は改良普及スタッフと協力して、彼ら自身が真に必要としているものを認識した上で、選択肢のメニューの中から自分の環境に最も適していると考える種類の技術を選択します。例えば、SAAでは土壌肥沃度管理について2~3種類のオプションを提供していますが、その中には、化学肥料の投入量を削減して有機肥料の利用を増やす組み合わせもあります。現在、技術促進については、農民の収入拡大(収量や総生産量の増大に加えて)がより明確な目標として条件になっています。そのため、どの技術について実証を行うかを決定する際には、コストやリスクを考慮することにより大きなウエイトが占められるようになっています。

SAAでは、テーマ1のリソースの70%を、これまで改良普及指導サービスを受けられなかった農民、特に女性農民や資源の乏しい農民、より辺境に住む農民のために配分するようにしています。テーマ1のリソースの残り30%は、これまで「純食糧販売者(食糧販売額が食糧購入額を上回っている農民)」であった、またはそうなる可能性がある比較的ゆとりのある零細農民に向けられます。ここでは、付加価値と所得の最大化に留意しつつ、より高い収量を上げられるようにすること、品質を向上することを優先課題としています。こうした活動は、零細農民が市場での取引で成功を収めるために重要となる農民組合を通じて行われます。

適正農業規範(GAP)の研修

SAAでは、農業普及の専門技術者(SMS: Subject Matter Specialist)、現場の普及指導員(EA: Extension Agent)、地域推進員(CBF: Community-based Facilitator)、零細農民、その他投入材販売業者や育種業者などのステークホルダーを対象に現場指向の研修を行っています。研修は農民やEA、CBFに対しては、作期の開始時点、中盤、終了時点で行っています。また、農民組織(テーマ3が指導するが、テーマ1にも関わる)のメンバーにも研修が行われます。研修では、商業としての農業をどのように行うかに焦点が当てられており、具体的には、計画立案や優先順位の設定、技術の選択、予算策定、費用・便益比較などの講義を行います。

農民学習プラットフォーム(FLP)

SAAでは、2009年から、農民学習プラットフォーム(FLP: Farmer Learning Platform)を主な研修・改良普及手法として導入しています。FLPは、コミュニティデモンストレーション圃場(CDPs:Community Demonstration Plots)、技術適用圃場(TAPs: Technology Adoption Plots)、そしてモデル適用圃場(MAPs:Model Adoption Plots)という3種類の実証圃場で構成されています。さらに、CDPsは、女性たちによるデモンストレーション圃場(WAD: Women Assisted Demonstrations)と男性たちによるデモンストレーション圃場(MAD:Men Assisted Demonstrations)から成っています。

1つのCDPの規模は、通常1,000㎡ほどで、伝統的にコミュニティで実施されてきた手法に対し、SAAの改良された技術的パッケージを例示するため、コミュニティにおいて様々な実演を行っています。各コミュニティには4つのCDPを設置し、そのコミュニティと話をする中で特定された、生産上の制限要因の解消に取り組んでいます。この4つのCDPは、農産物生産の多様化を通じて、食糧安全保障と収入向上、そしてジェンダー特有の問題とニーズを解決することを目的としています。そのため、4つのCDPのうち、2つは女性による圃場(WAD)、残りの2つは男性による圃場(MAD)とジェンダーバランスを考慮した配置となっています。WADは、過去に農産物のデモンストレーションに参加できなかった貧しい女性農民を対象にしています。また、若者や障害を持つ人々に対してもWAD,MAD両方を通じて支援を行っています。約15-20名の農民で組織された農民グループが一つのCDPを受け持ちます。CDPは以下の3つの点におけるフォーカルポイントとしての役割を果たします。(i)コミュニティベース、グループベースの農業研修と技術評価、(ii)農民コミュニティ間での情報および知識の共有のためのフィールド訪問、(iii)技術革新の紹介と普及。

農民学習プラットフォーム(FLP)の研修や実習公開に参加した農民の多くは、実証が行われた新技術を自分の農地で、自分の費用で試した後に、それを採用して生産を拡大するかを最終的に判断します。SAAではこのような圃場を新技術採用のための圃場(TAPs)と呼んでいます。TAP農民は投入材を購入し、自分が望む広さの農地を利用して、複数の新技術から自由に選択します。SAAのスタッフが普及員と密接に連携しつつ、必要に応じて農民に技術的な助言を行い、この採用の過程をモニタリングします。

昨今の気候変動の早さと、それに関連した農産物の不作は、特にサブサハラ・アフリカにおいてかつてない頻度で発生し、食糧安全保障を脅かしています。そのためSAAは、干ばつが発生しやすい地域や被害を受けた地域に焦点を当て、FLPにおいてニーズに基づいた気候変動対応型技術のデモンストレーションを行い、気候変動問題に取り組んでいます。SAAがデモンストレーションを行う気候変動対応型技術には、プライミング処理、耐乾性/早生品種の使用、土壌保全と水保全の技術、小規模灌漑技術(手動ポンプもしくはエンジンポンプ)、そして炭素や窒素排出の抑制技術(例えば、ミレットに対する少量施肥や灌漑米に対する深層施肥)などがあります。

リージョナル・ディレクター:Dr. Mel Oluoch

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