外務省NGO連携無償資金による「環境に配慮した市場志向型農業推進プロジェクト(エチオピア)」が採択されました

ニュース
2022年3月18日
点滴灌漑の設置・導入研修の様子
点滴灌漑の設置・導入研修の様子

2022年3月14日、外務省NGO連携無償資金協力資金(82,629,665円)が採択されました。今月31日より、エチオピア連邦民主共和国において「環境に配慮した市場志向型農業推進プロジェクト(Pro-Environment Market-oriented Agriculture Promotion Project in Ethiopia:PREMAP)」が開始します。

脱炭素技術海外展開イニシアティブの脱炭素製品に登録されているソフトバンク株式会社(*1)が提供する「e-kakashi(イーカカシ)」(*2)を活用し、
約2万人の小規模農家の収入向上と栄養改善、温室効果ガスの排出抑制を通じた気候変動緩和を目指す取り組みです。

エチオピア農業の多くは天水に依存しており、干ばつ等の気候変動の影響を大きく受けています。また、約14,000村(ケベレ)に農家研修センター(Farmer Training Center: FTC)が設置されていますが、電源や水源といった基礎的なインフラが整っていません。小規模農家の多くは、穀物を中心に慣行農法による栽培を行っており、農産物を「作ってから(余れば)売る」自給自足的な農業を営んでいるため、世帯収入も不安定です。

本プロジェクトでは、同国3州(アムハラ、オロミア、南部諸民族)の3か所のFTCを対象に、ソーラー式低温貯蔵庫や小規模灌漑施設(集水池・ソーラーポンプ等)を整備することで、換金作物として重要な野菜や水稲を中心にその技術普及機能を強化するとともに、「e-kakashi」を同センター及び国立イネ研究研修センターに導入することで、節水・節肥料型の栽培技術の確立・普及を目指します。


FTCの圃場を活用した女性農家の研修

同プロジェクトでは、上記FTCを環境データに基づいたイノベーティブな農業技術を学ぶことができる拠点として活性化し、上記栽培技術や収穫後ロスの低減、マーケティング等について小規模農家を対象とした研修を行います。これにより小規模農家の収入向上と同時に環境負荷の低減が期待されます。これは水田からのメタン発生抑制や畑地の土壌有機物(炭素)の増加が、農地からの温室効果ガスの排出抑制につながるからです。私たちはこのプロジェクトを通じて、アフリカ小規模農家の生計向上と気候変動緩和の両立を追求していきます。



*1: ササカワ・アフリカ財団(SAA)とソフトバンク株式会社は、アフリカにおける農業IoTを活用した科学的栽培技術確立と普及、社会実装に向けた取組みについて、2021年11月5日、覚書を締結しました。これは、ソフトバンク社が展開するe-kakashi(*)を活用し、長年アフリカで農業開発支援を行ってきたSAAの知見をもとに、資源を有効利用し、地球環境への負荷を低減するためのスマート農業技術の開発と普及に関するノウハウを相互に共有し連携を図るための協力を目的としています。

*2. e-kakashiは、IoTセンサーを活用して田畑から収集した環境データを、植物科学の知見を取り入れたAI(人工知能)で分析することで最適な栽培方法を提案し、農業従事者を支援するサービスです。テクノロジーやデータを活用して、農作業の効率化や生産量・品質の向上、技術継承を可能にする他、持続可能な農業の実現に向けた研究や実証実験に活用が可能です。

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