令和4年度日本NGO連携無償資金協力案件として、ササカワ・アフリカ財団の提案した4案件(エチオピア、ナイジェリア、ウガンダ、マリ)が採択されました

ニュース
2023年3月31日

一般財団法人ササカワ・アフリカ財団が、エチオピア、ナイジェリア、ウガンダ、マリを対象として提案した令和4年度日本NGO連携無償資金協力案件(計4件)がこの度外務省から採択されました。

エチオピアでは、昨年度に引き続き環境配慮(温室効果ガス排出抑制)と小規模農家の収益性の両立を可能とする栽培技術の実証・普及を行います。また、ウガンダとマリでは、農業協同組合の機能強化を図るとともに、野菜等の換金作物の導入による小規模農家の生計向上を目指します。ナイジェリアでは、ICT技術を活用した農業協同組合の機能強化を図るとともに、コメ生産プロセスの脱炭素化(薪炭材の代替)を狙います。各事業の概要は下記のとおりです。


エチオピア

事業名:環境に配慮した市場志向型農業推進プロジェクト2(脱炭素技術海外展開イニシアティブ案件)

契約金額:98,419,801円 

事業期間:2023年3月15日~2024年3月14日

事業地:オロミア州アナ・ソラ郡ラヤボダ村、シダマ州アレタ・ウォンド郡ブレサ村

事業概要:本プロジェクトでは、エチオピア国2州(オロミア、シダマ)から選んだ2か所の農家研修センター(Farmer Training Center: FTC)を対象に、小規模灌漑設備及び普及員と農家のための訓練施設を整備することで、換金作物として重要な野菜・豆類等の技術普及機能を強化します。また、ソフトバンク株式会社が提供する農業 AI ブレーン「e-kakashi(イーカカシ)」を同センターに導入することで、節水・節肥料により環境配慮と経済性を両立させるとともに、アグロフォレストリーを念頭に置いた農業生態系全体の炭素固定能力を最大化する栽培技術の確立を目指します。加えて、上記FTCを拠点として環境に配慮した栽培技術や収穫後ロスの低減、マーケティング等の市場志向型農業についての研修を行うことにより、対象となる約1.2万人の農家世帯の収入向上と栄養改善を目標とします。

エチオピア案件の事業予定地

農家研修センター(Farmers Training Center)の整備のイメージ(PREMAP1より)

ナイジェリア

事業名:コメ生産加工協同組合の活性化を通じた脱炭素化型コメ生産・加工推進プロジェクト(脱炭素技術海外展開イニシアティブ案件)

契約金額:739,414米ドル

事業期間:2023年3月31日~2024年3月30日

事業地:①ラフィア郡シャバブ地区ケフィ村:ダセワMPCS農家組合、②ラフィア郡アサキオ地区アサキオ村:アパシ・ウォザコメ農家組合

事業概要:ナイジェリアの中部に位置するナサラワ州にある2つのコメ生産加工協同組合を対象に、①共同集出荷拠点のインフラ整備、②デジタル化を通じた組合機能の強化、③コメ生産・加工プロセスの脱炭素化の促進を目指します。具体的には、アグリゲーションセンター(集出荷施設)を建設するとともに、籾のパーボイリング加工(煮沸)に必要な関連設備の整備や研修の実施、モバイルアプリ等を活用して組合のマーケティング機能向上やトレーサビリティの確立、効率的な在庫管理を進めます。実施にあたっては、日本植物燃料株式会社(本社:東京)と協働してコメ在庫管理システムの導入を図るとともに、株式会社トロムソ社(本社:広島)の開発したもみ殻固形燃料「モミガライト (※1) 」製造機を用い、現在コメのパーボイリング(煮沸)加工時に大量消費されている薪炭材の代替(カーボンニュートラル化)も推進します。

ナイジェリア案件の事業予定地
アグリゲーションセンター建設予定地(ラフィア郡アサキオ地区アサキオ村)

ウガンダ

事業名:多目的農業協同組合の活性化・電子化推進プロジェクト

契約金額:705,474米ドル

事業期間:2023年3月31日~2024年3月30日

事業地:中央北部ランゴ地域コレ県バラ郡オムゲ地区、北東部カラモジャ地域ナパク県ロコポ郡アペトリム地区

事業概要:本プロジェクトでは、ウガンダ国北部に位置する2県(コレ県、ナパク県)の2か所の多目的農業協同組合(One Stop Center Association: OSCA)の機能強化及び市場志向型農業の推進を行います。コレ県は降水量や肥沃な土壌に恵まれ、ウガンダ国内におけるメイズ生産の中心地であり、近隣国への輸出ルート上に位置しています。一方、カラモジャ地方に位置するナパク県は、コレ県に比べると穀物の生産性は未だ低い一方で、小規模灌漑による乾期野菜生産のポテンシャルが高い地域です。

両対象地域において、①共同集出荷や農産物加工施設の共同使用による穀物農家の収益性向上、②展示圃場を通じた技術普及機能強化による乾季野菜栽培の導入、③SHEPアプローチ・モバイルアプリを通じた市場志向型農業推進を目指すことにより小規模農家の持続可能な生計向上を目指します。

ウガンダ案件の事業予定地(出所:外務省海外安全HP
多目的農業協同組合(One Stop Center Association: OSCA)のイメージ

マリ

事業名:農業協同組合強化を通じた生計向上・栄養改善プロジェクト

契約金額:72,827,746円

事業期間:2023年3月31日~2024年3月30日

事業地:マリ共和国クリコロ州カティ圏マンデ地区

事業概要:本プロジェクトでは、マリ国バマコ市近郊に位置する広域農業協同組合であるサマンコ生産・収穫後処理・取引/研修センター(Production and Post-Harvest Trading/Training Center: PHTC、以下、サマンコPHTC)を対象に、①サマンコPHTCの機能強化、②環境に配慮した市場志向型農業の実践、③農業バリューチェーンにおける栄養強化の取り組み促進を行い、小規模農家の収入が向上するとともに、購買力向上等を通じて食生活が改善することを目指します。具体的には、PHTCの共同集出荷・技術普及拠点としてのインフラ整備(メイズ・コメを中心とした穀物の保管倉庫及び研修棟の建設)、PHTCを構成する10村における環境に配慮した農法に基づく園芸作物の生産・加工(乾季野菜作用の簡易灌漑設備やコンポスト(堆肥)ピットの設置、農産物貯蔵・食品加工のための資機材の供与、市場志向型農業(SHEP)アプローチによる販売促進や、栄養に配慮した調理法の導入や栄養補助食品の加工・販売に向けた事業化支援を行います。

マリ案件の事業予定地
研修センター建設予定地(サマンコPHTCナファジ村)

(※1)モミガライト
「モミガライト」は、脱炭素技術海外展開イニシアティブ(※2)において外務省より脱炭素製品として採択されている「グラインドミル」(もみ殻をすり潰した後に圧縮・加熱、棒状の固形燃料を製造する装置)から製造されるもみ殻固形燃料で、バイオマス燃料のため、燃焼時に新たな CO2 を排出しません。

(※2)脱炭素技術海外展開イニシアティブ
「脱炭素技術海外展開イニシアティブ」は日本政府のODAスキームの一つである日本NGO連携無償資金協力等を活用し、日本企業と日本のNGOが協力しつつ、日本企業が有する高度な脱炭素技術を、支援を必要とする開発途上国に提供するメカニズムです。(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100192078.pdf)

外務省ウェブ記事「日本全国 各地発!中小企業のODA」令和4年度トロムソ社事業

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