農村に雇用創出、ウガンダの若者起業家、チャールズ・ディケンズ・オマラさんのストーリー

ウガンダ
2022年2月25日
チャールズさんは、ビジネスに関する詳細な収支を自身で管理している
チャールズさんは、ビジネスに関する詳細な収支を自身で管理している

2020年、チャールズ・ディケンズ・オマラさんは、地区の農業事務所より選出され、日本財団出資によりSAAが運営するプログラム「ユース・ビジネス・クリニック」へ参加しました。参加当初は、最終的に賞金を獲得するとは夢にも思っていなかったチャールズさんですが、努力が認められ、コンペティションで優勝、100万ウガンダ・シリング($283)の賞金を獲得しました。現在チャールズさんは、その資金を元手に、養鶏業を営んでいます。

チャールズさんは27歳の農家であり、ウガンダ中北部リラ県アトディ村にあるブカラサ農業大学の学生でもあります。 養鶏業の収入により家族の生計を立て直し、現在は、養豚・養蜂・ウサギの飼育などにも事業を拡大し、多角的に畜産ビジネスに取り組んでいます。

ウガンダでは、かねてより、若者の失業が大きな社会問題であり、15歳~24歳の若者の失業率は83%に上ります。ウガンダのシンクタンク、Advocates Coalition for Development and Environment (ACODE)の報告によると、年間約40万人の若者が労働市場に放出される一方、働き口は、約9,000件しかありません。ウガンダは世界で最も若い人口構造をもつ国の一つであり、人口の77%以上が25歳以下、そのうち80%が農村部に住んでいます。農村部の若者が、自身でビジネスを営む力をつけるのは、雇用機会の創出につながり、大きな意味をもつことから、SAAは、農村の若者にビジネス研修を提供し、チャールズさんのような起業家育成の支援をします。

「プログラムの参加者はみな、素晴らしいビジネスアイデアを持ち、自信を持って審査員にアピールしていました。まさか自分が優勝するとは思っていませんでした」とチャールズさんは、話します。

鶏小屋で作業をするチャールズさん

現在、彼は研修で身に着けた経営スキルを活かし、地域の若手グループ、特に養鶏に興味を持つ若者を指導しています。

「SAAの研修を受けたおかげで、どのように畜産ビジネスを展開していけば良いか明確になりました。取引ごとに記録をつけ、収支の把握にも努めています」と語ります。

チャールズさんは、月に約60万ウガンダ・シリング($170)の収入を得ていますが、先日、畜産ビジネスで貯めた貯蓄で310万ウガンダ・シリング($881)の土地(15×20㎡)を取得しました。学業とビジネス、2足の草鞋をはくチャールズさんですが、最近は結婚をして、家族の世話をする余裕もできたと言います。大学が遠方のため、特に試験期間中は、学校に泊まりこみで勉強に専念することもありますが、母親と2人の姉妹を従業員として雇い、家畜の世話をしてもらいます。彼女らは、月に10万シリング($28)ずつの手取りがあり、そのお金で種子を買い、トウモロコシや大豆、ホワイトソルガムなどを育てています。

この成功を励みに、彼は次の挑戦を考えています。農場を拡大して家畜を増やし、卵を産む鶏の飼育を試みる予定です。そして、卒業後は獣医学の学位も取得したいと考えています。彼はすぐに、200羽のヒヨコを購入し、養鶏の新たな事業をスタートさせました。

「ユース・ビジネス・クリニック」の研修を受け、経営能力を養った若者たちは、仕事を探すのではなく、仕事を作り出すという考え方にマインドセットを変革します。この研修により、彼らは自信をつけ、リスクを恐れず、農業が生計の源であることを理解するようになります。2021年度、SAAは、93人(女性40人・男性53人)の若者を指導しました。

日本財団について

SAAの設立以来、30年以上にわたり、その活動を支援するメインパートナー。SAAの「新5か年戦略」重点分野の一つである『市場志向型農業(MOA)』の推進に当たり、小規模農家のビジネススキル育成・能力開発、市場動向に関する知識向上などを支援する。

具体的には、脱穀や製粉といった収穫後処理・加工へのアクセス向上、密閉型の穀物保管倉庫の普及による品質向上とポストハーベストロスの削減などに取り組んでいる。また、農家グループが組織運営、事業開発、マーケティングなどのスキルを身に着けることができるよう研修を提供。農業資材業者、販売市場、金融機関との連携構築もサポートする。

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