新技術により、タマネギの保存が 6 か月まで可能に

ナイジェリア
2023年3月25日

ナイジェリアでは、農産物の不適切な保存による収穫後のロスが課題であり、タマネギにおいては、収穫量の50%が廃棄されているといわれています。

SAAナイジェリア事務所は、近年、タマネギの保存期間を延ばし、農家の所得向上を目的とした人工通気によるタマネギ貯蔵技術(Artificially Aerated Onion Storage Technology: AAOST)を、「カノ州農牧畜開発プロジェクト(KSADP)」の下、試験的に導入し、カノ州内の3行政区画で実施しています。

バドゥメ市場のタマネギ農産物組合 会長のマラム・サヌシ・アブドゥラヒ氏は、同技術によるタマネギ長期保存の有効性が認知され、農家から注目を集めていると話します。

各コミュニティーにおける受益者の数
No コミュニティー 行政区画   受益者数  
1 Yadakwari  Garun Mallam 750 
2 Bagwai town Bagwai   750 
3 Badume Bichi 750 

「この地域のタマネギ農家は、収穫後ロス削減のため、費用対効果の高い保存方法を長年探していましたが、成功したことはほとんどありません。人工通気によるタマネギ貯蔵技術(AAOST)は、施設稼働後わずか6カ月で、損失を約1/3に削減することに成功しました。」 

「SAAが導入した改良保存技術は非常に効果的です。タマネギ30袋を6ヶ月間保存しましたが、傷んだのは2袋のみで、ほぼすべてを回収することができました。昨年は保存したタマネギの半分が腐ってしまい、多くの仲間が家族を養うため他の仕事を求めて去っていきました。SAAが改良技術を導入したことにより、それは過去の話となったのです」と、アブドゥラヒ氏は話します。 

AAOST施設では、太陽光発電の電力でファンを回し、タマネギの首部と外側の鱗片を乾燥した状態に保ちます。1日12時間、1時間おきにファンが稼働するように設定されており、タマネギを乾燥させつつ、球根に空気が流れすぎて腐敗するのを防ぎます。

同技術の効果、使いやすさ、メンテナンスコストの低さから、あらゆる地域のタマネギ農家が、AAOSTの設立を望んでいます。1基あたり約6,500米ドル(2,860,000NGN)の建設費用を賄うため、タマネギ農産物組合は会員数を増やし、資金の調達に努めています。 

2022年のAAOST施設の成功を受けて、SAAは今年さらに20基を増設し、タマネギの収穫後ロスの削減、カノ州農家の所得向上を目指しています。 

SAA E-Newsletter 2023年3月発行 ナイジェリア特集号より転載

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