SAA、CGIARサイエンス・ウィーク2025に参加(於:ケニア・ナイロビ)
2025年4月7日~12日、ケニア・ナイロビの国連ナイロビ事務局にて、「CGIARサイエンス・ウィーク2025」が開催されました。本イベントは、世界の農業科学とイノベーションの発展における重要な節目となりました。
「気候危機下における食料・土地・水資源システムの変革(Transforming Food, Land, and Water Systems in a Climate Crisis)」をテーマに、世界中から1万人以上の研究者、政策立案者、開発パートナーが集結。CGIARの研究ポートフォリオの発信、部門横断的な連携の強化、強靭で公平な食料システムの構築に向けた国際的な協働の方向性が共有されました。
戦略的連携のプラットフォームとして
開会式では、ケニアのムサリア・ムダバディ内閣筆頭長官が登壇し、気候変動、農業病害、食料不安といったグローバルな課題に対する科学技術の役割の重要性を強調しました。また、国連ナイロビ事務局のザイナブ・ハワ局長は、農業科学と開発の進展における協働の力を述べました。
CGIARのイスマハネ・エロウアフィ事務局長は基調講演にて、同機関の2025〜2030年研究ポートフォリオを発表。農業研究開発への戦略的投資、若者と女性の参画拡大、そしてイノベーションによる公平性の推進を強調しました。
ケニア・ナイロビで開催されたCGIARサイエンスウィークにて講演を行うイスマハネ・エロウアフィ事務局長SAAの積極的な参画
ササカワ・アフリカ財団(SAA)を代表して、メル・オルオチ 戦略パートナーシップ事務所長、菊池翔太朗 事業課長、ステラ・カビリ RA主任、エディス・コウコ リソース・モビライゼーション・マネジャー、フェンタフン・メンギスツ エチオピア事務所長、ハマド・タプソバ マリ事務所長、ゴッドウィン・アター ナイジェリア事務所長、ロバート・アニャン ウガンダ事務所長が参加しました。
農業分野における気候変動対策、土地・水資源の持続可能な管理、デジタル変革、アグロエコロジーおよび環境再生型農業の推進に関する各種セッションに積極的に参画し、最新の知見や政策動向の共有、議論に貢献しました。
戦略的パートナーとの連携強化
期間中、SAAはアフリカ開発銀行(AfDB)、国際熱帯農業研究所(IITA)、イスラム開発銀行(IsDB)、HarvestPlus、グローバル気候アクション(GCA)、アフリカ農業・林業研究センター(AFREC)、貧困撲滅および持続可能な支援(PESAID)、E-lite Ability Foundation Africa(ELAFA)などの開発パートナーと個別協議を実施。
気候変動に強い農業技術の普及、小規模農家の技術アクセス向上、アフリカ全体の食料システム改善に向けた連携の強化が話し合われ、SAAは農家中心の持続可能なソリューションと戦略的パートナーシップへの揺るぎないコミットメントを再確認しました。
左から、ロバート・アニャン事務所長(SAAウガンダ)、ゴッドウィン・アサー事務所長(SAAナイジェリア)、菊池翔太郎事業課長(SAA-HQ)、フェンタフン・メンギスツ事務所長(SAAエチオピア)C4SEAS連合会議をCGIARサイエンス・ウィークにて開催
CGIARサイエンス・ウィークのサイドイベントとして、SAAは、農業普及サービスのためのアフリカフォーラム(AFAAS)、アフリカ農業研究フォーラム(FARA)と連携し、「アフリカ農業普及・アドバイザリーサービス強化連合(Coalition for Strengthening Agricultural Extension and Advisory Services in Africa: C4SEAS)」の重要会合を開催しました。
本ハイレベル会議には農業界のリーダーや有識者が多数出席し、土壌を中心とした普及システムの変革に向けた方針が議論されました。SAA、AFAAS、FARAをはじめとするC4SEAS連合は、アフリカ連合委員会による「アフリカ肥料・土壌健全性行動計画(AFSH-AP)」および「アフリカ土壌イニシアティブ(SIA)」の現場実装を担う中核的な存在と位置づけられており、人材育成とデジタル技術革新の重要性が改めて強調されました。
FARA、AGRA、TAAT、AFAP、農家組織、大学等の積極的な参加のもと、農家主導型モデルおよびシステム的アプローチによる土壌回復への緊急行動が呼びかけられ、SAAはその戦略的調整力、技術的リーダーシップ、農家目線の普及モデル構築への貢献に対して高く評価されました。
この会議は、アフリカにおける農業普及の将来を、科学・政策・農家の現実と整合させる重要な転換点となりました。
ナイロビで開催されたC4SEAS連合会議の様子サイエンス・ウィークから得られた主要な示唆
CGIARサイエンス・ウィークを通じて、農業変革の加速に向けた以下の重要な示唆が再確認されました:
- イノベーションの迅速な展開:研究成果をスケーラブルかつ即効性のある形で現場に届けることの重要性
- 気候レジリエンス:小規模農家の持続可能性向上に向けた気候スマート農業および再生型農業の普及促進
- 連携によるインパクトの創出:研究・政策・開発・民間部門の横断的な協働によるシステム変革
- 科学とデータへの投資:農業研究とリアルタイムデータの活用による、より精緻な政策・事業計画策定の推進
SAA、持続可能な農業に向けた国際連携を強化へ
CGIARサイエンス・ウィーク2025は、食料・土地・水資源システムの変革において、科学を中心に据え、気候レジリエンス、公平性、食料安全保障の実現を目指す上での道筋を改めて確認する機会となりました。
SAAは今後も、地域・国際目標と整合しながら、戦略的パートナーシップの構築、包括的なイノベーションの推進、小規模農家支援を通じて、アフリカにおける食料システムの持続的な変革に貢献してまいります。
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