笹川アフリカ協会(SAA)、ジュネーブに誕生

1970年代後半-1980年代前半にかけて、アフリカでは干ばつによって飢饉が深刻化し、対応に苦慮する国が増えていました。これに対して、故・笹川良一氏(現・日本財団初代会長)は、食糧の緊急輸送といった一時的な支援の限界を理解していました。
そこで、食料増産への功績でノーベル平和賞を受賞したノーマン・ボーローグ博士と、ジミー・カーター元米国大統領に働きかけ、アフリカの食糧問題に対する根本的な解決策を模索することを決意しました。具体的には、ボーローグ博士の研究によって生まれた小麦の品種改良種に端を発した、アジアにおける「緑の革命」と同様の「革命」を、アフリカで実現することでした。そして、そのために必要となる長期的な取り組みに、日本財団として資金援助を申し出たのです。

1986年、笹川アフリカ協会(SAA)がジュネーブ(スイス)に誕生し、カーター・センターの「グローバル2000プログラム」と協力関係を結び、サブサハラ・アフリカにおける食糧不足と貧困の緩和、健康の改善に向けた共同事業を立ち上げました。
最初の事業は、ガーナとスーダンで始まり、カーターセンターによるグローバル2000が管理上の支援を行いました。(グローバル2000では、他の拠出者の資金を活用して、1987年にもザンビアで同様のプロジェクトを立ち上げています)。しかし1991年には、SAAがすべての国別プログラム(SG2000)の実施主体となりました。

アフリカの食糧増産に立ちはだかる課題

当時、多くの専門家の間では、アフリカの食糧増産に必要な技術の土台は既にできあがっているという認識が一般的でした。
一方、最大の課題は、たくさんのオプションの中から、いかにアフリカの小規模農家に適切な技術を選択し、その使い方を地域全体に普及するかということでした。そして、その解決の鍵として挙げられたのが、改良農業技術の効率的な普及システムの確立です。

そこで、現地の公的普及機関が、改良技術や情報を農家に伝える仕組みを強化すべく生まれたのが、「笹川グローバル2000」(SG2000)事業でした。
そしてSAAは、これまでアフリカ15カ国において、現場で働く数千人の農業改良普及員や数百万人の農家に対し、農家の圃場を用いた、実践的な技術のデモンストレーションと研修を行ってきました。対象としたのは、トウモロコシ、小麦、コメ、テフ、ソルガム、ミレット、豆類、根菜類など、地域の主食となる作物です。

これまでの活動地域

1986年から2003年末までの間に、SAAは合計15カ国(ガーナ、スーダン、ナイジェリア、ブルキナファソ、ベナン、トーゴ、マリ、ギニア、ザンビア、エチオピア、エリトリア、タンザニア、ウガンダ、マラウイ、モザンビーク)で事業を展開しました。
そして2004年初めに、SAAは組織の人的資源と資金を少数の重点対象国(エチオピア、マリ、ナイジェリア、ウガンダ)に集中することを理事会で決定し、その他の活動国でのSG2000国別プログラムは終えることとなりました。

初期の取り組み

SAAは、農業改良普及指導員や農家に対し、農家の圃場を使って研修することで、推奨する技術を地域の普及指導員と共に検証するアプローチをとってきました。シーズンを通じて耕うん、播種、除草、収穫を行うことで、農家は新技術の導入に伴う労働力や投入コストについて実践的に学ぶほか、改良種子の使用、列植や適切な施肥の方法、除草や収穫のタイミングなどを学びます。このような実地研修は、地域の普及員にとっても、農家との学びと交流にとって有益な基盤とになります。

1986年から2000年にかけて、SAAの活動対象国では、大規模作物栽培実証圃場が50万カ所以上、小規模な栽培試験圃場が数100万カ所整備されました。農家自身に加えて、協力国の政府がこの事業の大部分に資金を拠出しました。

また、SG2000の数ある取り組みの一つには、緑肥作物、例えばアジア原産のマメ科植物であるベルベットマメ(ムクナマメ)などの実証栽培もあります。
ベルベットマメは、熱帯地方で強い繁殖力を持つ有害な雑草であるチガヤ(Imperata cilindrica)から農地を取り戻すことができる、数少ない作物の1つです。ベルベットマメは成長過程で窒素を固定するため、零細農家にとっては二重の魅力があります。ベルベットマメを刈り取って土に埋めることで、次に栽培する作物に使う肥料をかなり減らすことができます。緑肥作物に加え、必要に応じて保全耕うん(最小耕うん、または不耕起)も推進してきました。

新たなアプローチと優先課題

近年、アフリカの農業の複雑さと課題に対する理解が進むとともに、各国政府や開発援助機関が活動の範囲を拡大しています。その潮流の中で、SAAは、2004年から2007年にかけて、新たな優先課題と事業領域を設定し、2009年末には、マトリクス・マネジメントと呼ばれる組織編成を行いました。

この間の新戦略策定の基調は、長らくSAAの会長を務めたボーローグ博士が、定めました。ボーローグ博士は、「SAAは、資源に乏しいアフリカの零細農家が切実に必要としている技術、知識および情報を確実に提供するため、引き続き官民の改良普及サービス事業者/機関との協力に取り組んでいきます。
しかしながら、アフリカにおける『緑の革命』という困難な目的を追求していくためには、SAAには達成すべき新たな優先課題と目標があります。」と述べています。 そして、増産だけではなく、協同組合への組織化に向けた農民の取り組みに対する支援や、ポストハーベストや販売の問題への対応、各種サービス事業者や組織(多くの場合、民間部門)との連携などを中心に活動を行うことになりました。

また、これまで以上に、農村地域の女性や若者の参加を積極的に促す他、気候変動に対する取り組み(耐乾性や早生の特色を持つ品種や集水手法の普及等)への動きも加速しています。

*.各事業については「SAAの活動」をご覧ください。

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