農村に住むナイジェリアの小規模農家にとって、品質の良い種子を手に入れることは簡単なことではありません。この課題に取り組むべく、マララバ・リド地方行政区のグレース・ヨハナさんは、「コミュニティ普及員（Community-based Facilitator: CBF）」として活動を始めました。彼女は、SAAとアフリカ緑の革命のための同盟（AGRA）が共同で実施する、メイズ（トウモロコシ）、コメ、大豆のバリューチェーンに焦点を当てた農業普及研修を受講し、その知識を地域に広めることを決意しました。

研修を受けたグレースさんは、SAAおよびAGRAと連携し、ナイジェリアの種子生産を手掛けるValue Seeds Limitedのメンバーとして活動を開始しました。彼女は農家とValue Seeds社の橋渡し役となり、農家のニーズを聞き取り、それを同社に伝えることで、必要な資材を農家に供給する仕組みに貢献しています。

「これまでも農業普及員として作物の生産や改良に貢献していましたが、SAAとAGRAが共同で実施した研修を通じて、農業バリューチェーンの重要な要素について深く理解することができました。この経験を通じて、視野が広がり、新たなビジネスチャンスを見つけることができ、農家との橋渡し役となることで得られる手数料により、収入向上にもつながりました」とグレースさんは語ります。

彼女の取り組みは、単に自身の収益向上にとどまらず、国内における高品質な種子の供給システムの改善にも貢献しています。Value Seeds社の業務の一環として、種子の調達から梱包、販売までを担当し、調達した種子は適切にラベリングを行い、2kgおよび5kgの袋に分けて梱包しています。また、農家からの注文を代行するだけでなく、農業技術に関する具体的なアドバイスも提供しています。来店した小規模農家に対して、種子の選定をサポートし、より良い収量が得られるよう指導を行うことで、グレースさんは地域の農業生産性向上に貢献し、農家の経済的安定を支える重要な役割を果たしています。