【活動報告】「売るために育てる」農業へ:オロミア州で進むSHEPアプローチの展開

エチオピア
2025年4月29日
SHEPの研修にて、農家が市場の需要に基づいて栽培作物をリストアップし、優先順位をつけている。
SHEPの研修にて、農家が市場の需要に基づいて栽培作物をリストアップし、優先順位をつけている。

国際協力機構(JICA)が開発した「市場志向型農業振興(SHEP)」アプローチは、農業に対する小規模農家の意識転換を促し、「余ったら売る」ではなく、「売るために作る」という発想の転換をもたらしています。このアプローチにより、小規模農家は自給自足の農業から市場志向型の生産へと移行する力を得て、収入と生活水準を大幅に向上させています。

SAAエチオピア事務所は、2022年よりこのSHEPモデルを中核的な活動のひとつとして導入し、食料・栄養・収入の向上に向けた支援を行っています。アムハラ州ケウェット郡、オロミア州アナソラ郡、中央エチオピア州アンガチャ郡の3つのケベレ(最小行政単位)において、計5つのSHEPグループ(合計119人の農家)が結成され、地元の農業普及員や関係機関と連携しながら活動を進めています。

これまで取り組みの拡大に向けて、JICAの「Ethio-SHEPプロジェクト」と連携し、農家、普及員、開発パートナー、学術関係者を対象に啓発や認知向上を目的としたセッションを実施しました。こうした基盤づくりを経て、SAAは、農家の選定やグループ形成に始まり、参加型の基礎調査や能力強化研修、市場調査、作物カレンダーの作成に取り組んできました。さらに、市場連携フォーラムや経験共有イベントの開催を通じて、実践フェーズもリードしてきました。

特に目覚ましい成果を上げたのは、アナソラ郡の“ラヤボダSHEPグループ”でした。彼らは、2024年7月から9月にかけて、18人の農家で約5ヘクタールの農地でケールを栽培し、地元の市場に出荷しました。その結果、1人あたり平均売上977米ドル、平均利益771米ドルに達しました。収入は、農業生態系(アグロエコロジー)、投入物の質、病害虫の発生、天候などの要因によって17.54米ドルから6,361米ドルまで幅がありましたが、この成功は、市場志向型の園芸作物が生活を向上させる大きな可能性を示しました。農家は種子の品質不足や害虫被害、洪水といった課題にも直面しましたが、適切なサポートのもと、こうした困難を乗り越え、確実に利益を上げることができました。

このような成果を踏まえ、SAAは、今後も地域との連携を基盤に、能力強化研修や市場リンケージの構築を通じて、SHEPアプローチをより多くの地域に展開していく方針です。「売るために育てる」という発想の広がりが、小規模農家の持続的な収入確保と、地域社会の安定的な発展につながることが期待されます。

道路わきでケールを販売する農家 ― アナソラ郡ライヤ・ボダ村にて

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