【Staff Spotlight】農家とともに歩んだ30年―収穫後技術で変革を導いたオウメル職員
「持続的な変化は、農家のためにではなく、農家とともに生まれる。」
この考えのもと、30年以上にわたりエチオピアの農業開発に携わってきたオウメル・タハ・アブドゥルウェハブ職員。ササカワ・アフリカ財団の発展にも16年の長きにわたり尽力してくれましたが、2026年3月24日をもって惜しまれつつも定年退職となりました。特に収穫後処理(ポストハーベスト)や農業機械化の分野で、小規模農家の生計向上に貢献してきた彼の仕事を振り返ります。
現場から始まったキャリア
1987年、アレマヤ農業大学(現・ハラマヤ大学)を卒業後、農業省に入省。州と県で農業技術の普及に従事し、小規模農家の課題解決に取り組みました。アセラ農村技術普及センター(オロミア州)での経験は、農家の暮らしの改善に向き合う原点となりました。
その後、オロミア州農業局の上級専門家として活動し、農業工学(収穫後技術)の修士号を取得。農業機械化の研究にも携わり、オロミア農業研究所の研究プロセス・ディレクターも務めました。
SAAでの取り組み――収穫後ロス削減と技術普及
2010年、ポストハーベストと農産物加工を担当するプログラムオフィサーとして、SAAエチオピア事務所に入所。収穫後ロスの削減と農家所得の向上に取り組みました。
着任当初、脱穀機の利用は一部地域に限られていましたが、16年間の取り組みを通じて、その普及は全国規模へと広がりました。
多用途脱穀機の改良では、ふるいの改善により作業効率が向上し、農家の負担軽減と技術の普及を後押ししました。
また、以下のような技術の普及にも取り組みました。
- SG2000(SAAの旧団体名の呼称)多用途脱穀機
- Bako Model IIトウモロコシ脱粒機
- PICS密閉型貯蔵袋
これらの導入により、貯蔵ロスの削減、穀物の品質向上、作業負担の軽減が進み、数千戸の農家において所得向上や食料安全保障の改善といった成果につながりました。
アンナ・ソラ郡で、農業コミュニティにトウモロコシ脱粒機の説明を行う。技術普及を支えた仕組みとパートナーシップ
こうした取り組みは、農業省や研究機関、米国パデュー大学、民間企業との連携によって支えられてきました。関係機関との協働により、技術普及を持続的に進めるための基盤が構築されました。
その一例が、若者グループによる農業サービスの提供です。デンベチャ郡(アムハラ州)では、トウモロコシ脱粒機を活用したサービスが若手起業家によって運営され、収入機会の創出につながっています。
また、PICS密閉型貯蔵袋は普及が進み、現在では年間400万袋規模で生産されるなど、周辺地域への展開も見られます。
人材育成と現場に根ざした取り組み
オウメルは技術の普及だけでなく、人材育成にも力を注いできました。若手職員への指導を通じて、知識の共有とチームの成長を支えてきました。
また、現場での実践を通じて、「農家の声に耳を傾けること」の重要性を重視してきました。多用途脱穀機の改良においても、農家からのフィードバックを反映することで、実用性の高い技術として普及につながりました。
「農家とともに考え、課題に向き合うことが、持続的な変化につながる」と語ります。
今後に向けて
退職後は、健康を大切にしながら家族と過ごす時間を増やしつつ、これまでの経験や知見を必要に応じて共有していくことを望んでいます。
受け継がれる成果と知見
収穫後技術の発展、農家の生計向上、人材育成、そしてパートナーシップの構築―これまでの取り組みと成果は、今後も現場で活かされていきます。
「農家に寄り添い、その知識を尊重し、協働を続けてほしい。」
その考え方と経験は、これからも次の世代へと引き継がれていきます。

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