SAA設立35周年記念式典(於エチオピア)

ニュース
2021年12月2日

ササカワ・アフリカ財団(SAA)は2021年に設立35周年を迎えました。それを祝う記念式典が対象4か国で開催予定ですが、その第一弾がエチオピアのアジスアベバで開催されました。式典には、農業省をはじめ、研究機関、大学、民間企業、パートナー団体、農家、SAAの経営陣やスタッフ(退職したOB含む)など、多くの関係者が集まりました。

式典は、SAAエチオピア事務所のフェンタフン所長による歓迎の言葉で始まりました。次に、北中真人理事長が登壇し、エチオピア政府や農業省をはじめ、これまでSAAの活動を支えてくれたすべての関係者に感謝の意を表わすとともに、エチオピア政府によるSAAモデルの拡大、農業普及員の研修、小規模農家への改良技術や優れた農法の普及などの成果を共有しました。また、北中理事長は、2021年は、SAAの設立35周年であるとともに、新しい事業戦略(2021~2025年)の初年度でもあり、SAAにとって非常に特別な年であることを強調しました。新事業戦略は、「持続可能な環境再生型農業(RA)」、「栄養に配慮した農業(NSA)」、「市場志向型農業(MOA)」を3本柱とし、アフリカの食料・栄養・所得の安全保障実現を目指します。こうした転換期を迎えるSAAの象徴として、スピーチの最後に、SAAの新ロゴマークが紹介され、会場は盛り上がりを見せました。

日本財団の笹川陽平会長からは、お祝いの以下の内容のビデオメッセージをいただきました。「本日は、各国の政府、研究機関、非営利団体など、アフリカの農業に携わる方々にお集まりいただきました。アフリカ農業の未来のために、国や組織を超えて協力してくださることを強く願っています。力を合わせて協力すれば、アフリカの人々の生活をより豊かにし、より希望に満ちた社会を実現することができます。」

SAAのルース・オニアンゴ会長は、SAAの歴史的背景を説明するとともに、アフリカの農村部における食料・栄養・所得の安全保障を実現するためのコミットメントを表明しました。また、35年間にわたりSAAを支援して下さった日本財団に感謝の意を表しました。

エチオピアのメレス農業副大臣によるスピーチ

エチオピアのメレス農業副大臣は、この25年あまりの間に、エチオピアの農業が大きく発展したのはSAAによる貢献が非常に大きいと評価しつつ、以下の言葉をくださいました。

「SAAは、トウモロコシや小麦などの作物において、改良技術と優れた農法により、小規模な圃場で生産性を2倍、3倍にすることが可能であると実証したパイオニアです。SAAの成果に確信を得た我々農業省は、SAAモデルを、国の農業普及プログラムに採用し、2001年までに360万の農家を支援するに至りました。農産物加工においても、SAAは、小規模な機械を導入する先駆的な役割を果たしてきました。また、特筆すべき成功例として、中堅農業普及員の能力強化が挙げられます。SAFEプログラムを通じて普及員の質を学位レベルまで向上させたのです。」

また、SAAの新事業戦略について、メレス農業副大臣は「新戦略の実施過程においては、1990年代以上のプロトタイプを開発し、政府の賛同を得て、国家レベルのスケールアップを実現することを期待します。エチオピアの農業変革に是非とも貢献してください」と大きな期待を寄せました。

また、日本財団と笹川会長への感謝の気持ちを込めて、「わが国の農業開発への長年にわたる献身的な支援にこの場をお借りして、感謝したいと思います。この支援が、我が国とアフリカ全体の食料不安・貧困が解決するまで続くことを願っています」と述べました。 同副大臣から笹川会長には、農業省からの表彰状が手渡されました。

受益者の若者によるスピーチ

オープニング・セッションに続き、SAA地域事務所のメル所長とSAAエチオピア事務所のフェンタフン所長によるプレゼンテーションが行われました。メル地域事務所長は、アフリカの農業開発におけるSAAの貢献について、フェンタフンエチオピア事務所長は、エチオピアに焦点を当て、SAAの成果や新戦略について発表しました。その後、参加者によるディスカッションが行われ、農家などの関係者が、SAAの活動がいかに自分たちの生活に変化をもたらしたか、証言しました。また、SAAエチオピアの元カントリー・ディレクターであるアベラ博士も、SAAとの思い出を共有しました。

パートナー団体や関係者、SAAエチオピア事務所のマネジメントやスタッフには、これまでの貢献をたたえ感謝状が手渡されました。最後に、農業省 農業普及局ディレクターのイェネネッシュ氏が閉会の辞を述べ、閉幕しました。

式典会場には、SAAの35年間の歴史を物語る写真・出版物・ポスター・賞なども多く展示されました。また、本式典は、特にコロナ禍において、なかなか会う機会のなかった関係者が一堂に会す貴重な機会となりました。

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