ウガンダ初の全国農業普及週間(National Agricultural Extension Week)にてSAAが表彰を受けました

ニュース
2023年6月1日

2023年5月23日~26日、第1回全国農業普及週間(National Agricultural Extension Week)がウガンダ首都カンパラにあるカビラカントリーホテルにて開催され、SAAウガンダ事務所が参加しました。本イベントは、「革新的な多元的農業普及アプローチを明らかにする: 食料安全保障と商業志向型農業の実現に求められるレジリエンスと競争力(Unveiling innovative pluralistic AEAS approaches: Actors' resilience and competitiveness for food security and commercialized agriculture)」というテーマで、農業普及アドバイザリーサービスのためのウガンダフォーラム(Uganda Forum for Agricultural Advisory Services: UFAAS)がウガンダ農業・畜産・水産省(MAAIF)と共同で開催しました。イベントには、農業普及関係者、NGO、農家組織、地域組織、研究・教育機関のほか、UFAASネットワークのメンバーが参加しました。

SAAの展示ブースにて、ビジターズブックにサインをするフランク・トゥムウェイズ農業大臣
ウガンダ全国農業普及週間のSAA展示ブースにて

本イベントに先立ち、SAAは、農業セクターの課題を明らかにするため、「農業普及システムにおける女性と若者のエンゲージメント」を主題にした記者会見を開催したほか、イベント会期中、SAAが農業バリューチェーンに沿って推進しているさまざまな技術を展示ブースで紹介し、150人以上が見学に訪れました。展示ブースでは、トウモロコシや大豆のモーター駆動式脱穀機、穀物クリーナー(洗浄機)、密閉式貯蔵法などの収穫後処理技術や、SAAの戦略、農家の声、2022年度活動報告を収めた資料や、農家学習プラットフォームおよび害虫管理のハンドブックなどを紹介しました。

2023年5月22日、SAAウガンダ事務所のデビッド・ウォゼンバ所長(右から2人目)とスタッフの記者会見

また、同イベントにおいて、SAAは、ウガンダの農業技術普及への貢献とUFAASへの一貫した支援が評価され、表彰を受けました。SAAウガンダ事務所のデビッド・ウォゼンバ所長は、表彰式において、「環境再生型農業」「栄養に配慮した農業」「市場志向型農業」を柱とするSAAの戦略について説明し、同国の農業普及に引き続き貢献していくことを約束しました。

また、農家、普及員、地域世話人(Community-based Facilitator)などSAAと連携する農業関係者が、コミュニティにおけるそれぞれの貢献が認められ表彰されました。

カラモジャ地方ナパック県イリイリ郡のSAAホスト農家で、マザーズ平和協会の会長を務めるビッキー・ンゴロクさんは、「優れた農家」賞を受賞しました。彼女は、世界食料計画(WFP)による農業・市場支援プログラムのもと、SAAの研修を受講し、近隣農家に、トウモロコシ、豆、ソルガム、ビタミンAが豊富なオレンジスイートポテトの栽培方法を指導しています。具体的には、自分の農場で小規模農家向けの技術を実演し、農業バリューチェーンにおける活用を奨励するほか、家庭での健康的な食生活に関する知識を広めたり、農家組織による共同販売を支援し、同地域の小規模農家、特に市場志向型農業を目指す農家の模範となっています。

ナカセケ気候変動対応技術展示村(Climate Smart Village: CSV)にて、SAA地区コーディネーターを務めるキタインブワ・ロナルドさんも、「優れた農家」賞を受賞しました。同氏は、SAAとFAOとの共同で、気候変動の緩和を目的に、「これまで活用されていなかった灌漑技術を固定式・移動式の両面で推進」し、野菜、コーヒー、牧草などの高価値作物を栽培する農家の回復力と適応力を強化した功績が認められました。

「農業におけるイノベーション」部門では、SAAの研修を受けマユゲ地区の農業用機械製造に従事するムニェゲラ・ゴッドフリーさんが、「製造技術や養成訓練を通じて、地区内外の若者の技能向上と雇用創出に貢献した」ことが評価され、受賞しました。彼は、生産・収穫後処理用機械を製造しており、マリなど国外の技術向上にも貢献しています。

また、イシンギロ地区ムバアレ郡の地域世話人(Community-based Facilitator)であるマウリーン・トゥヒンビセさんは、SAAとともに推進する伝統野菜(栄養価は高いが栽培されなくなったもの)特にキビの復活プロジェクトが認められ受賞しました。マウリーンさんは、キビの種子増殖に取り組んでいます。

SAAが運営するユース・ビジネス・クリニックの受賞者デニス・ティベンカナさんは、イベント期間中に開催されたパネルディスカッションに参加し、ウガンダの農業普及システムにおいて若者が直面する課題を議論しました。彼は、若者を食料バリューチェーンに組み入れ、農業普及プログラムへ参加できる体制を構築するよう関係者に呼びかけました。

パネルディスカッションに登壇したのデニス・ティベンカナさん(左から2番目)。

第1回目の全国農業普及週間(National Agricultural Extension Week)の開催を通じ、パートナーシップの構築と強化、若者の参画、ジェンダーに配慮したアプローチや方法論の導入がウガンダの農業普及における主要な課題点として認識されました。また、フランク・トゥムウェイズ農業大臣からも、農業セクターにおける技術普及の重要性が改めて強調されました。また多くの登壇者が、農業普及は農業開発の跳躍台であるとして、効果的かつ効率的な方法で農業普及サービスを充実させることの重要性が共有されました。またそして各農業関係者がそれぞれの方法で農業普及の発展に貢献することが呼びかけられました。

Press Statement_22 May 2023_Inclusive Agricultural Extension Services(英文)

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