外務省日本NGO無償資金協力で支援する農家研修センターの竣工式が行われました (アムハラ州)

ニュース
2023年8月9日

20223月から20235月にかけて、SAAエチオピア事務所は、アムハラ州北メチャ郡とオロミア州ネゲレアルシ郡にて、日本外務省の資金援助の下「環境に配慮した市場志向型農業推進プロジェクトPro-Environment Market-oriented Agriculture Promotion Project in Ethiopia: PREMAP-I)」*を実施し、農家研修センター(Farmers Training Center: FTC)の普及能力強化を支援しました。本プロジェクトを通じてSAAは両地域のFTCにて施設整備や人材育成を行い、2023528日には、農業省のモデルFTCとして生まれ変わったビラカット村のFTCにて、プロジェクトの成功と地元政府への譲渡を祝して竣工式を執り行いました。

竣工式には、州・郡政府の関係者をはじめ、多くの農家や農業普及員らが参列し、北メチャ郡農業局のベケレ・ハイル農業局長、アムハラ州農業局のアムサル・ゴバウ広報部長、SAAエチオピア事務所のフェンタフン・メンギスツ所長により、テープカットが行われました。

式典参列者は、同FTCの農業普及員のリーダーの案内で、研修棟や展示棟、育苗のためのグリーンハウス、野菜の低温貯蔵庫、井戸・ソーラーポンプ・点滴灌漑を整備した小規模灌漑設備などを見学しました。またプロジェクトでは、2haに及ぶFTCの敷地の周りにはフェンスも設置しました。さらに、プロジェクトを通じて供与された生産・収穫後処理に関する農具や農機(耕耘機、トラクター、脱穀機等)は、今後、普及および展示目的で利用される予定です。



さらに、式典ではソフトバンク株式会社が提供する農業AIブレーン「e-kakashi」が紹介されました。本サービスは、農業普及のデジタル化促進の一環として導入されたもので、日射量、温度、湿度、地温、土壌体積含水率、土壌電気伝導度など圃場の環境条件をモニタリングすることができます。ベケレ・北メチャ郡農業局長は、「e-kakashiは、事前設定した栽培レシピ(栽培方法)に基づいて、最適な灌漑頻度や収穫時期、病害虫アラートなどを発信してくれます。圃場のデータはスマートフォンのアプリでいつでも確認できます」と紹介します。またSAA東京事務所の職員が、e-kakashiのデータを見て、エチオピアのジャガイモ圃場で体積含水率が低下していることに気づき、すぐにFTCの普及員に知らせた例を紹介しました。

参列者はまた、プロジェクトを通じて供与されたビデオ教材の視聴のためのプロジェクターや、太陽光発電によるデスクトップパソコンやプリンターなどのICT機器も見学しました。



FTC見学後、フェンタフン所長とベケレ局長によるディスカッションが行われ、プロジェクトの目的や事業内容(インフラ整備、技術支援、農業普及員や小規模農家向けの研修を通じた能力強化)について説明が行われました。

またアムハラ州農業局のアムサル広報部長は、ビラカット村FTCについて、さまざまな技術やリソースを活用し、農業普及システムと農家のマインドセットを変革する重要な役割を果たす拠点になると評価したうえで、適切な施設の運営・管理とリソースの活用の重要性を強調しました。また参列した農家は、SAAと日本政府による支援に感謝の意を表しました。最後に、プロジェクトに貢献した個人や組織を表彰する表彰式を行った後、SAAのフェンタフン所長から北メチャ郡農業局にFTCの引き渡しが行われました。

 

SAA 出版物のご紹介

E-ニュースレター
"Walking with the Farmer"

SAAの活動動向をレポートしたE-ニュースレターを隔月で発行しています。

E-ニュースレターの日本語翻訳版(PDF)はE-ライブラリーでご覧いただけます。

SAAメールニュース

E-ニュースレター”Walking with the Farmer”(英語版)とイベント情報をメールで配信しています。是非ご登録ください。

登録はこちら

ヒストリーブック

“農家と共に歩んで ―ササカワ・アフリカ財団の農業支援の軌跡―”(日本語翻訳版)

SAAの創設から現在までの歩みを記したヒストリーブック(翻訳版)です。

サクセスストーリー
Voices from the Field Special Edition 2022

「現地からの声」の記事を特別編集版としてまとめました。