尿素スーパーグラニュール(USG)の深層施肥で肥料価格の高騰に立ち向かう ~ナイジェリアの農家アダム・ホトロさんの物語~

ナイジェリア
2022年9月12日
深層散布機を手にするアダム・ホトロさん(ナイジェリア・カノ州のトウモロコシ畑にて)
深層散布機を手にするアダム・ホトロさん(ナイジェリア・カノ州のトウモロコシ畑にて)

''従来の施肥方法では、施した肥料が風雨で流されたり、炎天下で溶けてしまったり、無駄が多く作物が吸収するのは、ごくわずかでした''

アダム・ホトロ(農家)

SAAナイジェリア事務所は、カノ州農牧畜開発プロジェクト(KSADP)の一環として、尿素スーパーグラニュール(Urea Super Granule: USG)の深層施肥技術を普及し、農家の施肥効率の向上を支援しています。従来の表層施肥は、肥料が風雨で流亡しやすく、作物の養分吸収率が低下してしまうという欠点がありました。作物が養分を十分吸収できない場合、農家は、肥料を再投入するなどの対策が必要となり、 手間がかかるだけでなく昨今高騰している肥料の購入は、農家にとって大きな負担となります。

この問題を解決するため、SAAナイジェリア事務所は肥料の深層散布機を導入しました。これは、SAAの推進する環境再生型農業に資する新しい技術で、土壌肥沃度を回復させる統合的土壌肥沃度管理(Integrated Soil Fertility management: ISFM)のアプローチを採用しつつ、化学肥料の投入量を最適化し、小規模農家の生産性向上に貢献します。

アダム・ホトロさん(62歳)は、カノ州ナサラワ地区に住む小規模農家ですが、近年の気候変動や土壌劣化による深刻な影響を受け、対応に苦慮していました。

ホトロさんは最近、同州の小規模農家の生活の質向上を目的としたKSADPプロジェクトを通じて、尿素スーパーグラニュール(USG)の深層散布機を入手しました。この技術を用いると、流亡や蒸発散による肥料の無駄が減少します。

ホトロさんは次のように話します。「SAAからこの新しい施肥技術を教えてもらったおかげで、生活が楽になりました。今までの肥料散布方法は、長時間腰を曲げて畑を歩き回る必要があり、非常に体力を使う仕事でした。しかし、深層散布機を使うと、効率よく肥料を播くことができます。」 

深層散布機を用いて尿素スーパーグラニュール(USG)を投入した場合、表層に肥料が露出せず、土中に埋め込むことができるので、作物に養分がいきわたります。その結果、生産性が向上し、重労働も軽減されるとホトロさんは話します。

子どもたちに施肥技術を教えるホトロさん

また、ホトロさんは、自分が受けた深層施肥技術のトレーニングを、子供たちや周りの農家に教えています。

散布機は現在、中国で生産されており、価格は1台約126米ドル(420ナイラ)ですが、KSADPプロジェクトでは、地域の製造業者を訓練することで国内で持続可能な生産ができるよう計画しています。

深層散布機の恩恵を受ける農家

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