失業者からビジネスオーナーへ~脱殻サービスでビジネスチャンスを~
2019年12月、小規模農家の市場志向型農業を推進する「IMPACTプロジェクト」のもと、エチオピア・アムハラ州ブレ・ズリア地区において、ミスラック農業グループが組織されました。同グループは、ポストハーベストにおける改良技術の普及と若者の雇用創出を目的とし、3人で操業開始し、現在は5人(女性3人)のメンバーが運営に携わっています。
ブレ・ズリア地区は、トウモロコシ生産の盛んな地域ですが、ポストハーベスト技術へのアクセスが限られていたため、収穫後の損失や品質低下が課題でした。農家は、収穫したトウモロコシの脱殻を手作業で行い、多大な労力と時間を費やしていました。
そこで、SAAエチオピア事務所は、ミスラック農業グループに台車付きのトウモロコシ脱殻機を支援しました。その結果、同グループは、周辺コミュニティーの農家(85軒)を対象にトウモロコシの脱殻サービスを開始し、やがて1集落につき約232.7トンの脱殻サービスを提供するまでになりました。そして、1シーズンで1,140米ドルの粗利益を獲得ました(機械代の約47%に相当)。
同グループは、季節性の脱殻サービスに加え、通年を通してビジネスができるようプロジェクトが提供した創業資金を活用し、農産物販売業も開始しました。さらに、農薬販売の要件を満たす農業資材店を設立、さまざまな農薬の供給を開始しました。2021年には、1シーズンの脱殻サービスと1カ月間の農薬販売で、約2,000米ドルの粗利益を獲得しました。また、トウモロコシの脱殻技術を390の農家に実演し、脱殻技術の普及に貢献しました。
脱殻サービスと農業資材店のビジネスでコミュニティーへ貢献するやりがいを励みとし、同グループは作物生産の拡大や加工など、更なる経済機会を探求しています。また、ビジネスで得た利益を貯蓄し、耕作/積込み用のトラクターを購入するなど、より価値の高いサービスの提供や、大規模な投資活動も視野に入れ、「近い将来、私たちは大きな投資家になる」と意気込んでいます。
SAA E-Newsletter 2023年1月発行 市場志向型農業号より転載
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