ソラマメを使った穀物とマメ科作物の輪作の復活~農地の生物多様性と持続可能な農業へ~

エチオピア
2023年8月10日
改良品種の小麦・ソラマメの輪作を取り入れるホスト農家
改良品種の小麦・ソラマメの輪作を取り入れるホスト農家

農地における生物多様性の促進は、環境再生型農業の要です。豊かな生態システムは、多くの生物種に生息地を提供し、地上と地下の両方で生物多様性を保全します。

輪作は、同じ区画で違う種類の作物を一定の順序で栽培することであり、生物多様性を高める上で効果的な方法です。輪作は、雑草の生育を抑え、病害虫の発生サイクルを乱し、残渣を土壌に還元するだけでなく、地表面を保護し、浸食や水分の蒸発を抑え、土壌の有機物含有量を向上させます。

特にマメ科作物は、このプロセスで重要な役割を果たしています。マメ科作物は、主に根粒菌と呼ばれる共生細菌を使って空気中の窒素を固定することができます。根粒菌はマメ科作物と共生関係を結び、大気中の窒素を植物が利用できる形に変換するため、商業的に製造された根粒菌を人工的に種子に接種することで、窒素固定が促進されます。こうしたプロセスで土壌の肥沃度が高まり、養分が持続し、さまざまな制約によるリスクが軽減します。

アムハラ州メケット地区では、農家が生産する作物は限られていました。コムギ、オオムギ、テフなどの穀物を中心とした輪作はこれまでも実践されていましたが、豆類の病害に対する不安から、マメ科作物の生産が避けられていました。こうした状況に対処するため、SAAは同地区で小麦とソラマメの輪作の利点を紹介すると同時に、高収量で耐病性を持つソラマメの改良品種を紹介し、併せて減耕起、根粒菌の接種と適切な殺菌剤の散布指導を行いました。農家は収量、病害に対する耐性、登熟歩合、いずれの面でも従来使っていた品種や農法との大きな違いに驚き、この品種と手法に関心を持つ農家が増えました。こうした試みは、農地における生物多様性と回復力を高める上で輪作が果たす役割を示しており、土壌肥沃度を改善するための大切な一歩となっています。

輪作圃場にて、改良品種のソラマメが大きく成長したことを確認する農業普及員

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