課題を乗り越え地域のモデル種子生産者へ~ナイジェリアカノ州の農家アミヌ・ハシムさん~

ナイジェリア
2023年9月25日
ナイジェリア カノ州クラ村の農家アミヌ・ハシム・クラさん
ナイジェリア カノ州クラ村の農家アミヌ・ハシム・クラさん

アミヌ・ハシムさん(50歳)は、ナイジェリアのカノ州クラ村出身の農家で、4人の子供の父親です。ハシムさんは、長年小規模な土地で農業を営んできましたが、生計を立てるのに苦労し、収量確保に必要な改良種子や肥料などの農業資材を購入する余裕はありませんでした。

2021年、ハシムさんはササカワ・アフリカ財団(SAA)が主催する農家向け能力開発研修に参加する機会を得ました。同研修は、イスラム開発銀行(IsDB)と「生活と生計のための基金(Lives and Livelihoods Fund: LLF)」から資金提供を受け、カノ州政府とSAAが実施する「カノ州農業牧畜開発プロジェクト(KSADP) 」の一環として行われ、土地の準備、病害虫管理、土壌肥沃度、収穫および収穫後処理、種子の生産/増殖などの適正農業規範(GAP)を学ぶことができます。

研修受講後、ハシムさんはKSADPから提供された改良種子、肥料、農薬などで必要な農業資材を賄い、新たな水田1ヘクタールを借り、コメの生産に着手しました。その年、ハシムさんは豊作を収め、10袋(1トン/ha)から80袋(3トン/ha)へ種籾の収穫を増やすことができました。また、SAAの支援によりマーケットとつながり、収穫した種籾を約1,973ドルで種苗会社に売却しました。

稲作の売却益を元手に、ハシムさんは次年度の事業を多角化しました。SAAのパートナーであるHarvestPlusが推進する生物学的栄養強化作物(Biofortified Crop)のメイズ(ビタミンA強化)を1ヘクタール、コメの改良品種(Faro 45)を1ヘクタール、2022年の雨季に栽培しました。そして、60袋のメイズを収穫し、20袋をValue Seeds社に、10袋をHarvestPlusに、5袋をDala Foods社に売却し、残りの25袋を地域の農家に提供しました。

2022年のオフシーズン、ハシムさんは灌漑や水管理などを適正農業規範に則り、小麦を1ヘクタール栽培しました。その結果、85袋の小麦を収穫し、40袋を約2,500ドルで販売、残りの40袋を倉庫に保管しています。ハシムさんは現在、家族のために安定した食料を確保するのみならず、市場価格を見て有利なタイミングで、農作物を販売しています。

「KSADPが提供してくれた農業資材とGAP研修が、技術向上につながり感謝しています。その結果、収量と収入が安定した種子生産者になることができました。今では家族を支え、子供たちを良い学校に通わせることができています。」とハシムさんは話します。ハシムさんは今や、地域のモデル農家兼種子生産者となり、家族を支えるとともに、事業を通じて地域に貢献しています。

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