3年前、ウガンダの農家コロベ・アナニアさんはローンや学費の支払いに追われ、苦しい生活を送っていました。就農を決意した頃は、農業で安定した生活を得ることを思い描いていましたが、実際の営農は予期せぬ失敗の連続で、収穫はわずか、売り上げは家族を養うにはほど遠いものでした。

農業による生計を諦めかけていた2020年、彼は世界食糧計画（WFP）の支援によりSAAが実施する農業マーケット支援（Agriculture Market Support: AMS）プロジェクトに参加し、新しい技術／知識と出会いました。適正農業規範（GAP）、農産物の収穫後処理、共同集出荷、マーケティングなど、後に彼の生活を一変させるアグリビジネスのスキルに触れたのです。

研修で得た知識をもとにコロベさんは、仲間の農家と協力し、収穫した農作物を共同で集荷場に出荷するようになりました。そして、共同出荷を通じて交渉力を得た結果、55袋のメイズを720万UGX（1,926.22米ドル）という想定を上回る価格で販売することができました。

「収穫後処理やマーケティングなどの知識を得たことが、大きな転機となりました」とコロベさんは話します。

売上金により、彼は、支払いに苦慮していたローン（130万UGX）を完済し、子供2人の学費（93万UGX）を清算し、家計の支出（175万UGX）も賄うことができました。

さらに、320万UGXを農業の投資に回し、耕作地をメイズ23エーカー、ソルガム4エーカー、豆5エーカーの合計32エーカーに拡大しました。有機肥料を活用して化学肥料の分量を減らすことで生産コストを低く抑えるなどの工夫も凝らし、コロベさんは、今後も生産量を増加することができると見込んでいます。

SAA E-Newsletter 2023年9月発行 ウガンダ特集号より転載