【後編】途上国の農業にビジネスプランを提案!渋幕高校生チーム「そあにすと」×ササカワ・アフリカ財団

2022年11月9日

ビジネスコンテストを通じて広がる関心と将来像

SAAビジネスコンテストを通じて得たものや、この経験を今後どう生かしていきたいかなど、教えて頂けますか。

秋山:私は、今回のテーマ「農業生産者の安定的な食糧生産」のようなトピックは、もともと関心があったので、自分自身の良い勉強になったと思います。また、調べる過程で、自分の興味に対する再発見と自信につながり、将来やりたいことが明確になった気がします。自分自身でビジネスプランを考えて提案するというのはとても面白く、起業などへの興味も広がりました。

伊藤:参加を通して、大人と会話する機会に恵まれたので、社会人になって、会社で働くというイメージが湧きました。みんなの意見をまとめて提案したり、どうすれば良くなるか話し合ってブラッシュアップしたりすることが、とても楽しいと感じるので、将来も是非やってみたいですね。もともとプレゼン資料を作るのは好きでしたが、自分の強みになると感じることができました。

T.N大勢の人の前でスポットライトを浴びてプレゼンするというのが初めての経験でした。長期間にわたって綿密に準備して発表するというのも!今回の経験を通じて、先進国と発展途上国のフェアトレードやアジアのビジネス、また、若年層の格差にも興味が広がったので、大学院で学びたいと思うようになりました。

SAA農業だけでなく、途上国を取り巻く様々な課題を感じられたのですね。

高校生が見つめる途上国と国際協力

SAAインターネットが普及する前は情報が限られており、途上国というと本当に貧しいイメージでアフリカは非常に遠い世界でしたが、皆さん世代のイメージする途上国やアフリカはどういうものか教えていただけますか。

秋山:やはりあまり身近には感じていないと思います。実際に途上国に行ったり調べてみたり、また、ドキュメンタリー番組で見たりなど、何か体験をしない限り、余り考える機会がないと思います。学校の授業や教科書を見ても、ヨーロッパやアメリカに比べるとアフリカや西アジア、東南アジアの情報はとても少ないです。貧困や飢餓といった従来のイメージは私たちの世代でも変わってないと思いますね。

T.N.私は、家族で海外旅行に行った時に見た光景が印象に残っています。例えば、アフリカでもリゾート地や豪華なホテルはありますが、少し車で走ると全く異なる貧しい光景が広がっていたり。途上国の中の貧富の差は、何度見ても衝撃が大きく圧倒されます。そこを解決できればという気持ちもあります。

伊藤:私は、日本から出たことないので、地理の授業や教科書で学ぶ内容が大きいですね。ただ、キャリア甲子園を通して、教科書に出てくることが全てではないという視点を持ち、自分で考えながら情報を読むことができるようになりました。

SAA皆さんのように途上国や国際協力について問題意識を持っている若者は多いのでしょうか。

T.N.日常的にはそういう話は余りしないですし、途上国には行きたくないといった子も一定数はいます。日本から出たくないという子もいますね。

SAASDGsはテレビなどでも目にする機会が多く普及していますが、今の高校生は身近に感じていますか?

秋山:SDGsという言葉は馴染みのあるものになったけれど、現実味はあまり感じてないです。具体的な対策やアプローチがなく、SDGsという言葉だけが一人歩きしている感じがします。例えば、学校でSDGsについて学んだとしても、あくまで授業で発表するために調べているという感じです。SDGsの目標自体が抽象的だとも感じますね。

SAASDGsに現実味が無いとか、アフリカが比較的遠いと感じている中で、今回ビジネスコンテストで、アフリカの農業を取り上げられたのは面白いですね。海外や途上国に関する情報はどうやって集めていますか?

T.N.東南アジアの留学先で会った友達の話聞いたり、海外ドラマが好きでタイやフィリピンのドラマを見ると、そこに文化面が表れていたりします。

伊藤:私は地理の授業が大きい。その国の産業や民族、紛争なんかを学ぶのが、とても新鮮です。

秋山:ネットで調べたり、ドキュメンタリー番組をみたり。あと、オンライン英会話でフィリピン、ジンバブエ、ザンビアの方と話せるので、そこで文化面や歴史を学ぶことが多いです。

SAA皆さん自分の考えをしっかり持って発言されていますが、そのようなスキルはどうやって身に着けられましたか?

伊藤:校風が大きいと思います。みんな自分の意見をしっかり持っている。例えば、授業で学んだことについて、「これどう思う?」みたいな会話を帰り道に普通にしたりします。

でも、私たちの環境が特殊かなと思います。塾に行って他の学校の子と話したりすると感じるのが、私たちの学校の生徒は自分の意見を持っているし、しっかり伝えることができると思います。学校の教育目標が「自調自考」なので、学校生活の様々な場面で自主的に調べ・考える訓練がされていると思います。

SAA素晴らしいです。本日は、色々なお話を頂き、ありがとうございました。

今回のインタビューは、SAAにとって、現役高校生と直接話をする貴重な機会となりました。途上国や国際協力に対する率直な意見を伺う実りある時間になるとともに、若者の問題意識の高さ、快活なエネルギー、将来への大きな可能性を感じました。世界の課題に真摯に向き合い、新しい扉を開けることにまったく躊躇しない、高校生の姿勢に大変刺激を受けました。私たちは今後も、日本の高校生や若者に向け、遠く離れたアフリカのこと、国際協力のこと、また、SAAの活動について、発信していきたいと思います。

Fin.

インタビュー:徳末明子、及川美穂、市川史帆
編集:市川史帆、木元典子

【前編】途上国の農業にビジネスプランを提案!渋幕高校生チーム「そあにすと」×ササカワ・アフリカ財団

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